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進出企業インタビュー01

地域間交流支援機構

山下拓未さん

真鶴をハブにし
全国各地へと繋がっていく

真鶴をハブにし、全国各地へと繋がっていく

もともと、徳島県美波町でサテライトオフィス誘致に取り組む会社に所属していた山下さん。2019年に独立し、一般社団法人 地域間交流支援機構(通称:ロコラボ)を立ち上げました。前職では様々な地方を訪れていた山下さんが、独立するときに拠点として選んだのが真鶴でした。現在(2020年3月)は、真鶴の古い空き家をオフィス仕様にするため、絶賛活動中!

地方の実情を知り、都市と地方、そして地方と地方を繋ごうとする山下さんがなぜ真鶴を選び、活動するのか。その思いを伺いました。

—— まずは、これから山下さんが真鶴町でやろうとしている事業について教えてください。

これから地方で活動しようとする人たちや、すでに地方で活動している人たちに向けて、地方で楽しく生きるため、仕事をするために必要なノウハウや場所を提供する仕事を行っていきたいと考えています。例えば国が行なっている *地域おこし協力隊 という制度があるのですが、その地域おこし協力隊へ参加する人たちに向けた研修です。地方へ行き生活を始めると、まず最初に地元の方からその地域の文化や作法を教えてもらうことがよくあります。例えば「お祭り」や「行事」、「寄り合い」のことだったり。そういった地域に根付く文化や作法は、これから地域の一員として楽しく暮らしていくための教養として大切なことばかりです。でも残念ながら、その多くは口伝が基本でマニュアル化されていないことが多いんです。そこでロコラボでは、全国の地方で暮らし活動している方々と連携し、「地域作法」や「地方で楽しく暮らせるノウハウ」が学べる研修を行なっていく予定です。

*地域おこし協力隊 … 都市地域から過疎地域などの地域に一定期間居住を移し、地域おこしの支援を行いながらその地域への定住・定着を図る取り組み

—— なぜ真鶴に拠点を構えようと思ったんですか?

大きく二つあるのですが、まず一つ目は、首都圏から通いやすい場所にありながら、あまり観光地化されておらず地域特有の文化が残っていることですね。ここで仮暮らしができる施設や、地域住民、先輩移住者との交流ができる仕組みをつくりたいと思っているんです。

最近では、「地方で働く、暮らす」ということがさまざまなメディアで取り上げられブームになりつつあります。流行りになると「地域作法」や「地域文化」を知らず移住してくる方も増えてきます。そしてその結果、移住者と地域の方たちとの間でミスコミュニケーションやトラブルが発生することが必然だと思うんです。真鶴のような首都圏から気軽に通える場所で少しずつ地域作法を学ぶことができれば、将来地方へ移住したときに楽しく暮らしていける力を身につけられると考えています。

二つ目は、実は私、生まれは神奈川県の秦野市というところで、高校が(真鶴の隣にある)小田原市の高校なんです。それで真鶴にもたくさん友達がいて、学生の頃よく遊びに来てた町なんですよ。うちの両親も真鶴がすごく好きで、生まれて初めて魚を釣らせてもらったのも実はこの(オフィスのすぐそばにある)岩海岸なんです。なので、個人的に真鶴が好きなのもあって真鶴に決めました。

山下さんのオフィスは、真鶴の岩海岸から徒歩3分程度の平屋と二階建ての一軒家。土間やエントランスドアなど、ほぼすべてを自分たちでリノベーションしているという。

工事を手伝っている小林さん。DIYに興味があるということで、国府津から手伝いにきている。

—— 5ヶ月前(2019年11月)からこの物件のリノベーションを始めたと聞きました。実際に仕事を始めてみてどうですか?

(オフィスを構える)岩地区はすごく居心地が良いなと感じています。近所の方が遠巻きに見守ってくれている感じがして。 最初は「何やってるんだろうな?」と通りがかりにチラッと見るぐらいなんです。でも先月ぐらいから、いつも見かける方に「こんにちは」と挨拶すると、会話をしてくださるようになって。ちょうど1週間くらい前からは、近所のおじさんが普通に入ってきて(笑)、色々教えてくれるんですよ。「ここはこうした方が良い」とか、「この道具はこう使える」とか。当然何か行いが悪いときは、「こういうことをしたら困るよ」という注意もしてくれます。そういう気さくなコミュニケーションって苦手な方もいるかもしれませんが、見守ってくれてるような気がするので僕には安心感があります。

あと、事務所から50mほど歩けば小さな砂浜があるので息抜きもできるし、すごく静かな場所なので仕事も捗るし、お気に入りの場所です。

ただ、空き家情報はもっと整理した方が良いと思いますね。今回事務所で使う建物を探したときも、なかなか条件に合う物件が見つからなかったんです。でも町内には長く空き家になっている建物も多いですし、もっと(地域全体が)必死になって活用方法を模索しないと、今空き家になっている建物も痛みが進んでもったいないなと思います。今は首都圏から地方移住を考えている人が増えてきているので、ひるがえせば大きなビジネスチャンスにもなると思うんです。持ち主の方の気持ちになれば、自分が暮らしてきた土地や建物に思いがあるのも理解できるのですが、少しずつでも空き家が活用されるようになれば真鶴に新しい活気が生まれるのではと期待しています。

平屋の向かいにある、二階建ての戸建はこれからリノベーションを行う。

家具デザイナーの佐藤さんも町外から手伝いに来ている一人。これからみんなで床貼り、そして階段も自作(!)するのだとか。

—— 真鶴でサテライトオフィスを構えることについて、どんなメリットがあると思いますか?

まずは距離ですね。首都圏で普段生活をしている方が、「ちょっと気晴らしに田舎暮らしの体験に行ってみよう」と思ったとき、例えば僕が住む徳島県の集落へ行こうとすると、飛行機を使って往復で24,000円程かかるんです。かつ移動時間は飛行機と車で大体6時間ぐらいかかります。海も川もきれいですし、地域の方もすごくピュアなので僕にとっては全く苦にならないコストなのですが、それって首都圏に住む人がなかなか気軽に何回も行けるところじゃないですよね。でも真鶴だと、東京駅から電車で一時間半程度の距離で価格も数千円。これなら「年に何回」じゃなくて「月に何回」か来れるじゃないですか。それはこの町でサテライトオフィスを開く大きなメリットだと思います。

あと、真鶴より南に行くと「温泉街」や「観光地」が多くて、西へ行くと「街」が増えます。でも真鶴は、立地的に観光地化されていてもおかしくない場所なのに、どこか昭和の香りがする古い町並みが残っていて、のんびり過ごすことができます。それはこの町の個性だし、他の似たような距離にある場所と比べても強いブランドだと思います。そして、この町にサテライトオフィスを出すことで、そのブランドの一員として振る舞うことが許される。それは会社にとっても個人にとってもメリットになると思います。ひるがえすとその責任を担えるかどうかの自覚をみんなが持たなきゃいけないので、その教養みたいなものは育てる必要があると思いますが。

—— 今後真鶴に期待することは?

「真鶴に関わると、きっと自分の人生が楽しくなる」という風に感じてもらえるようになったら良いなと思いますね。僕は、人生を楽しく過ごすには、目標となる先輩がいたり、同じ趣味や思いが共感できる仲間が近くにいることが重要なことだと思うんです。

真鶴は今、移住者の方々が増えています。しかも仕事と生活、趣味を大切にされている方たちが多い。そういう人たちはなるべくしてなってるわけではなくて、苦労して移住し努力されて仕事をつくり、楽しく暮らしていると思うんです。これは真鶴が持つ大きな資源の一つだと思っていて。それは、これから地方での暮らしを考えている人たちが来たときに、自らの経験を持って相談に乗ってくれたり、ときには注意してくれたり、夢や目標、苦労や悩みを共感してもらえる仲間がたくさんいるということだと思うんです。

つまらない地域って、地元の方の話を聞いても、自分の話をしても共感が生まれなかったり、あこがれる人がいなかったりするんです。でも真鶴では他愛ものない会話でも、「分かる分かる」、「ああそうだよね」と共感してくれる方が多い気がします。

これから地方での暮らしを考えている方が真鶴へ来たとき、人との出会いが楽しい。ご飯が美味しい。景色が良い。いろいろな意味で人生が楽しくなる町になってくれたら良いなと思いますね。

—— 山下さん自身はどんなことをやりたいと思っていますか?

いろいろありますが、まずは事業をちゃんと真鶴で確立することですね。そして全国へ地域作法を身につけた人を輩出していくこと。多地域にわたって関係性を持って生きていく人を増やしていくことです。

真鶴は神奈川県で唯一の過疎地に指定されていますが、真鶴が今直面している少子高齢化問題や空き家問題、地場産業の衰退といった悩みは、何十年も前から首都圏から遠く離れた自治体(四国や九州、北海道など)が取り組んできたことなんです。

それは例えば真鶴を一人の人間として見たとき、同じ悩みを持っている人が日本全国にたくさんいて、中にはすでにその悩みを解決した人もいるということです。そしてその解決方法は、人の経験値や人材に頼る部分が大きく、現地の人材と交流をしながら、成功事例の導入をする必要があります。

もし真鶴が人材を全国へ輩出するハブ機能を担うことができれば、自ずと全国の成功事例を手に入れることができるのではと期待しています。もしかしたら世界とも繋がるかもしれません。その取り組みは全国の地方自治体にとってとても勇気付けられることだし、結果的に真鶴も救われるんじゃないかなと思います。そのお手伝いをロコラボで実現していきたいと考えています。

一般社団法人
地域間交流支援機構
通称ロコラボ。地方で活動する人たちに向けたノウハウや場所の提供を行い、都会と地域の交流を支え促進していく団体。
ウェブサイト:ロコラボ